等級プロテクト特約はもうない。廃止された理由。事故には厳しくなってきています。
等級プロテクト特約とは、事故を起こして保険を使っても1回に限り等級が下がるのを免除してくれる特約です。
ですが、2016年現在、全ての保険会社で等級プロテクト特約は廃止されています。
自動車保険は等級によって保険料が変わってくるので、この特約は非常にありがたいものだったのですが、制度改正されて各社順次撤退。JA共済やセコム損保などが、2014年度まで等級プロテクト特約を頑張って継続していたのですが、それも2014年10月1日以降が保険始期日の契約から廃止されました。
だから、これから保険に入る人、契約を見直したり会社を変更しようとしている人は、もはや気にするもんでもありません。
ただ、現状の制度を把握する上で多少関連する部分もあるので興味がある方は知っておくのも良いと思います。
等級プロテクト特約の仕組み
等級プロテクト特約とは、本来ならば3等級ダウンする事故を起こした場合でも、この特約を付けておくことで「等級が据え置かれる」特約の事を言います。
自動車保険を一度使うと、等級が3段階下がってしまいますが、これは自動車保険料に換算するとおおむね5~50%ぐらいの割増となります。
18等級の人が事故を起こして15等級に下がると翌年の保険料は3%割増。これくらいなら痛くないように思えますが、等級が下の人は大変です。9等級から6等級に下がると20%も違うのです。
そのため、まだ運転歴の浅い人はとりあえず入っておけば安心出来るありがい特約でした。
ちなみに、20等級から3等級ダウンの17等級でも10%割増となるので等級が一番上まで行ったベテランにとっても入っておいて損はないので、多くのドライバーに非常に人気があったんです。
等級プロテクト特約が廃止になった理由
2012年10月に自動車保険の等級制度が改定され、事故有り等級制度・事故有係数適用期間が導入され、事故を起こしたドライバーに対するペナルティーが、以前より厳しくなりました。
等級据え置きという概念の消滅
この改定により、従来あった「等級据え置き事故」というのものがなくなり、新たに「1等級ダウン事故」になりました。
「等級が据え置かれる」という概念がなくなったので、同時にプロテクトもクソもなくなってしまった訳です。
昔は据え置き事故だったものは今は1等級ダウン。これは保険会社はどうすることもできません。
保険会社の収益を圧迫していた
もう1つの理由は、等級プロテクト特約の存在が、保険会社の収益を圧迫してしまったことが挙げられます。
等級プロテクト特約は、保険会社にとっては目玉商品で、ドライバーにとってもありがたいものでした。
しかし、特約による保険料収入は増加したものの、普通なら保険金を請求しないような小さな事故でも、保険金が請求されるようになり、結果として赤字商品となってしまったようです。
ドライバーは等級ダウンを避けられる上に保険金も出るのでお得だけれど、保険会社は特約で得た収益を上回るほど保険金の支出が膨らんでしまった。なんとも皮肉な話です。売り手と買い手にとってややバランスが悪い商品だったんですね。
まとめ
このような制度改定、商品の変化は、自動車保険を取扱う損保会社の収益改善のためにときどき起こります。
今は年々保険料が上がってきている傾向にあり、優良ドライバーには優しく、事故を頻繁に起こすリスクが高いドライバーには厳しいのが現状です。
我々消費者が出来ることは、しっかり保険会社のサービスを理解して、年に1度の更新時期に契約内容をきちんと見直すことです。
2016/09/20